![]() |
|
股関節インピンジメント症候群とは、日常生活の動作(あぐらを組んだり、しゃがみこんだり、正座など)やスポーツ活動(サッカー、走り幅跳び、ハードル、レスリングなど)で股関節を過度に屈曲する動作(曲げる動作)を繰り返すうちに股関節痛や運動障害などを訴える疾患です。 原因 屈曲動作の繰り返えしによって骨盤の臼蓋の関節唇や関節軟骨が大腿骨頭と衝突して発生します。なお関節唇は線維軟骨で構成されています。ゴムのような硬度でリング状に骨頭を覆って取り囲み関節の安定性に寄与しております。 症状 症状は股関節痛や引っかかり感、クリック音(コリッという雑音)、運動障害です。別名、「股関節衝突症候群」と呼ばれます。なお一部の症例では変形性股関節症へと進展することもありますので注意深い観察が必要です。 診断 ピンサータイプ、カムタイプ、混合タイプの3つ分かれ関節唇や関節軟骨に衝突して症状を引き起こします。 ■ピンサータイプは過度な屈曲で骨頭の根元が関節唇や軟骨と衝突し症状を起こすタイプです。 ■カムタイプは関節唇は正常ですが、骨頭の根元の一部が隆起して関節唇や軟骨に衝突して症状を起こすタイプです。 ■混合タイプはピンサータイプとカムタイプの両方を持つタイプです。 診断は股関節内に局所麻酔を打つと症状が改善されます。詳細な情報収集はCTやMRIの検査が必要となります。 治療 1)保存的治療 原因となった動作(しゃがみ込み、股の最大屈曲、回旋動作)などの運動を極力制限していただきます。疼痛緩和に物理療法やアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤、外皮用薬を短期間処方します。運動療法として腰部ストレッチングや股関節ストレッチング、大腿部ストレッチング、腰部の筋力強化、股関節の筋力強化を指示します。難治例には関節内注射を検討します。 2)手術的治療 保存的治療で改善されなければ手術が検討されます。術式は鏡視下で関節唇や軟骨、骨隆起の切除術を行います。
|