痛風と高尿酸血症


 痛風と高尿酸血症
・痛風とは、血液中に尿酸が異常に増え、関節の滑膜に尿酸結晶が沈着して、激しい疼痛発作を起こす疾患です。約130万人(2022年)おられます。

・高尿酸血症とは、痛みなどの自覚症状がなく、単に血中の
尿酸値が7mg/dl以上になった状態で、1000万人(2022年)おられます。

・昔は裕福で飽食を好む中年に好発したため「ぜいたく病」と呼ばれていました。最近では、食生活の欧米化に伴い若者に多発する傾向にあります。

・95%が男性で、5%が女性です。30歳~60歳に好発します。女性は高齢者に認められる傾向にあります。


 尿酸について
・尿酸は、蛋白質のもとになるプリン体(食物や古い細胞が分解されて出来た核酸、激しい運動によって過剰に産生されたATPにの中に含まれている物質)が分解されて発生する最終代謝産物です。

・分かり易く言えば、尿酸は古い細胞の「残骸」やエネルギーの「燃えカス」のようなもので体内でこれ以上分解できない物質です。

・大半は、核酸(生体の遺伝子情報を伝える物質)由来のものです。食物によるものは20%です。

・
プリン体は肝臓で分解され、尿酸(1日700mg)がつくられます。

・尿酸は腎臓で濾過され、尿として排泄(1日500mg)されます。一部、腸内で分解(1日200mg)されます。

・そのため、肝臓で尿酸が過剰産生されたり、腎臓で尿酸の排泄が低下すると、高尿酸血症になります。



 原因
・食生活による場合もありますが、大半は体質的素因や遺伝子異常と考えられています。

・高尿酸血症は3つのタイプがあります。

1)尿酸産生過剰型(尿酸が過剰に産生されるタイプ)
2)尿酸排泄低下型(尿酸が排泄されにくいタイプ)
3)混合型(尿酸産生過剰型+尿酸排泄低下型のタイプ)

・尿酸排泄低下型が60%で、尿酸産生過剰型が10%、混合型が30%と考えられています。



 症状
・数年間の無症候性高尿酸血症(尿酸値は高いが症状を認めない状態)を経て、ある日、突然に痛風発作 を発生します。典型的な発作は足の親指に好発します。

・しかし最近では、色々な部位の関節(足、足趾、膝、手、指)に痛風発作(尿酸結晶沈着性関節炎)を認めます。結晶は、関節以外の軟部組織(軟骨やアキレス腱、皮下など)に沈着します。

・痛みは運動時のみならず安静時や夜間に耐え難い激痛として認められます。

・ただし、発作時に必ずしも尿酸値が高い訳でもありませんので、診断の際は注意して下さい。

・レントゲン検査では、関節の軟骨下骨が破壊され、骨の穴状の病変を認め、やがて骨変形を来します。

・偏光顕微鏡検査で尿酸結晶を認めれば、痛風と確定診断されます。

・なお、鑑別疾患に偽痛風があります。

偽痛風は高齢者の女性に比較的多く、レントゲンでは線状の石灰化像を認めます。特に膝関節や肘関節、手関節、足関節などの大きな関節に発症します。血液検査で炎症反応(CRPや白血球、赤沈)が高値になります。しかし尿酸値は正常です。関節穿刺で黄色の混濁液(ピロリン酸カルシウム結晶沈着性関節炎)を認めます。偏光顕微鏡検査でピロリン酸カルシウム結晶を認めれば偽関節と確定診断されます。


・高尿酸血症を治療せずに放置すると、余剰な尿酸は組織に沈着し、尿路結石や慢性腎臓病(昔は尿毒症で死亡しておりました)、動脈硬化、脳血管障害、狭心症、心筋梗塞などの合併症を併発させます。

・高尿酸血症は
メタボリックシンドロームの誘因の一つです。したがって痛風や高尿酸血症と診断されますと、生涯にわたり尿酸値のコントロールが必要になります。


 治療
●痛風発作時の治療
・痛風発作が起こると
非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド剤、ステロイドの注射が検討されます。おおむね発作は2週間以内に治まります。

・しかし、発作が消失しても、尿酸値は高いままです。

・したがって、発作が解消されても、合併症の予防(脳血管障害や心疾患障害など)のために、高尿酸血症に対する治療が必要となります。

●高尿酸血症の治療
・ガイドライン(2022年)では、高尿酸血症の治療は痛風発作の有無やメタボリックシンドローム(メタボ)の有無によって、生活指導と薬物療法に分かれます。

①生活指導
・尿酸値が7~8mg/dlで指導します

②薬物療法

・
痛風発作の経験がある方は7mg/dl以上で開始
・メタボのある方は8mg/dl以上で開始
・メタボのある方は9mg/dl以上で開始

・薬物療法は、少量から開始し、ゆっくり尿酸値を下げて6mg/dl以下を目標値とします。

・急に尿酸値を下げ過ぎると、関節に沈着していた尿酸塩が融解して、再発作を招くことがあるからです。

・なお、生活習慣の改善だけでは、尿酸値は1mg/dl程度しか下がらないと言われています。

・薬物療法は、尿酸産生阻害剤と尿酸排泄促進剤に分かれます。

1)尿酸産生阻害剤(尿酸を作らなくする薬)です。
・一般名アロプリノール(商品名ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)、トピロキソスタット(トピロリック)があります。

2)尿酸排泄促進剤(尿酸を体内から排泄させる薬)です。
・一般名ドチヌラド(商品名ユリス)、ベンズブロマロン(ユリノーム)、プロベネシド(ベネシッド)、ブコローム(パラミヂン)などです。

・どちらの薬剤を選択するかは腎障害や肝障害、尿路結石の有無、他の既存症を考慮して決定されます。

・一般的に腎機能障害のある症例には、尿酸産生阻害剤がファーストチョイスとして使用されます。

・一般的に肝機能障害のある症例には、尿酸排泄促進剤がファストチョイスとして使用されます。ただし、ベンズブロマロン(ユリノーム)は禁忌なります。

・なお、これらの薬は、生涯にわたり服薬することになります。中には、長期間疼痛発作がないので服薬を中止される方がおられます。大半は再び高尿酸血症となり、痛風発作を起こされます。

・服薬継続の目的は痛風発作、関節破壊の予防です。さらに、慢性腎臓病や動脈硬化などの合併症の予防にも必要と思われます。



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