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大腿骨頭壊死とは | |
大腿骨頭壊死とは大腿骨の骨頭が何らかの原因によって血行障害を生じ骨頭の骨組織が壊死(死んでしまう)疾患です。特発性大腿骨頭壊死(明らかな原因を認めない骨頭壊死)と症候性大腿骨頭壊死(明らかな原因を認める骨頭壊死)に分かれます。 ■特発性大腿骨頭壊死 明らかな原因なく発生します。30〜60歳に好発し、両側例も散見いたします。 なお危険因子としてステロイド使用歴やアルコール大量摂取歴、喫煙歴などがあります。 ■症候性大腿骨頭壊死 明らかな原因を有する症例です。原因として外傷(股関節脱臼、大腿骨近位部骨折など)やペルテス病、潜函病(水中で作業する人が急に地上に戻った際に骨頭が窒素ガス塞栓症を起こす疾患)、放射線照射などの症例があります。 症状・診断 症状は股関節の痛みや運動障害、歩行障害、跛行(かばうように歩く状態)です。なお、腰痛や臀部痛を訴えられる症例もありますので腰椎疾患(腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、梨状筋症候群など)のチェックも必要です。 診断はレントゲン検査(帯状陰影や骨頭陥没)やMRI、CT、骨シンチグラフィーなどで確定されます。なお早期の症例はレントゲン検査での診断は困難です。MRI検査が必要となります。鑑別疾患として変形性股関節症や大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折などがあり要注意です。 治療 1)保存的治療 壊死の範囲が少ない症例は、杖による免荷歩行や肥満解消を指示します。定期的にレントゲンやMRI検査などで経過観察します。疼痛緩和にアセトアミノフェンや物理療法、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤、外皮用薬を処方します。効果がなければトラマドール塩酸塩、デュロキセチンを検討します。運動器リハビリテーションとして股関節のストレッチングや腰のストレッチング、股関節の筋力強化、腰の筋力強化などを開始します。 2)手術的治療 しかし、大半の症例は進行性に経過するため手術が必要となります。術式は骨切り術と人工関節に分かれます。 骨切り術は骨頭に正常組織(骨頭がまだ壊死していない部位)が十分あれば、その正常の骨組織で荷重させる手術です。大腿骨骨頭回転骨切り術や大腿骨内反骨切り術、大腿骨外反骨切り術などがあります。広範囲に壊死を認める症例は人工骨頭置換術(骨頭のみに人工物に入れ替える手術)や全人工股関節置換術(骨頭、臼蓋ともに人工物に入れ替える手術)が行われます。
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